・「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」を見た。始まりは、ヘンリー・ダーガーという固有名詞の発音を巡る。ダーガー、と呼ぶ人もいれば、ダージャー、と呼ぶ人もいて、はたまた、ダージャァと呼ぶ人もいる。この発音の曖昧さ、不確かさによって、「謎」の輪郭が浮き彫りになっていく。彼の写真は3枚しかない、というナレーションもまたそのトーンを強める。隣人や知人の証言をもとに、ヘンリー・ダーガーという「アウトサイダー・アーティスト」の一生涯と、「非現実の王国」の創作過程を再構成したドキュメンタリーなのだが、「戦闘美少女の精神分析」第四章を読んでいたので、情報という観点からすれば目新しいものはなかったように思う(ちなみに映画館に行く前に第四章だけ読み直した)。ただやはり、コラージュ技法で描かれたあのイラストがアニメーションで動き、ダーガーの部屋の様子、タイプされた原稿や日記類のスナップショットが映し出されると、画面に釘付けになってしまった。にしても、いくら脳内フル勃起な状態にあったにせよ、15000ページに渡る叙事詩など書けるものなのだろうか。驚嘆するしかない。こんなエピソードがある。晩年、家主がその叙事詩を発見しそのことをダーガーに告げると、ダーガーはこう言ったという。It's too late。何がもう手遅れなのだろうか。発見するのが遅すぎた?まさか。不気味な謎を投げかけられたまま、ダーガー、ダージャー、ダージャァという声が今も耳に鳴り響いている。
・「媚肉の香り ネトリネトラレヤリヤラレ」終了。AVキング以来のelf。批評空間のレビューを読んでさっそくプレイしてみたが、この手の、というかこのタイトルから想像するタイプの抜きゲからするとかなりソフトで、フェティッシュばりばりのプレイも設定なければ、安直な快不快の原理で動くタイプの主人公でもない。「ソフト」とは言っても、アニメーションを用いたセックスのシークエンスなんかはよく動くし、かなり抜ける。お気に入りは、バッドエンドに向かう時の香織(人妻)とのセックスシーンだ。もとのCGが綺麗なので妖艶と形容しても言いぐらいの香織のアクメ顔と、アニメーションでなびく髪、そして正常位というコンボ。いや、まったく、ごちそうさまです。文体もソフトで読みやすい。セックスシーンでの言葉に対する執拗な感触には、いいご趣味をお持ちですね、と突っ込まざるを得なかった。どのキャラクターもいい人ばかりで、それは強大な悪をしたてあげる方法なのだろうけど、シナリオのダイミックさが欠けてしまっているのが残念といえば残念だ。落としどころはいいにしても、もう少し悪を注入しても良かったんじゃないかと思う。それによって、シナリオに「謎」を仕立てあげることができるのだから。タイトルのカタカナの部分はなくてもいいんじゃない?損してる。
・「暁の護衛」@しゃんぐりら、プレイング。